大腸カメラとは
大腸の内腔を観察し、病変の有無などを調べるために行う検査のことを大腸内視鏡、または下部消化管内視鏡といいます。一般的には、大腸カメラと呼ばれることが多いです。同検査では、胃カメラと同様に細長いチューブ（スコープ）の先端にレンズやCCD、鉗子、ライトが内蔵されています。この検査機器を肛門から挿入していくことで、結腸や直腸など大腸内部の様子を観察できるようになります。
なお大腸カメラでは、検査機器の挿入時に空気も一緒に入り込みます。これが腹痛や腹部が苦しい等の原因になることがあります。このような状態をできるだけ起きないようにする対策として、検査機器を挿入する際に炭酸ガスを送気することがあります。炭酸ガスは、空気よりも腸管に吸収されやすく、腹痛やお腹のハリなどの症状が空気と比較して和らぎやすくなります。また検査時の痛みなどに不安がある方には、鎮静剤を投与します。これによって、うつらうつらした状態での検査となるので、腹痛やハリなどの症状は感じにくくなります。
検査時は、大腸（結腸、直腸）と小腸の一部の内腔の様子を観察します。その際にポリープなど疑わしい病変があれば、一部を採取して顕微鏡で詳細を調べる検査（生検）するほか、発見したポリープが内視鏡で切除可能であれば、その場で切除することもあります（日帰り手術）。
大腸カメラ検査を
受けた方がよいとされる方
- 便潜血検査の結果で「陽性」判定が出た
- 便秘や下痢の症状が慢性的に続く
- 便に血液が混じっている（血便）
- 最近、体重が急激に減っている
- 貧血の症状がみられる
- お腹のハリを常々感じる、腹痛が続く
- 大腸がんや大腸ポリープを切除したことのある方 など
大腸カメラによる検査で
発見可能な病気
- 大腸ポリープ
- 大腸がん
- 炎症性腸疾患（潰瘍性大腸炎、クローン病）
- 大腸憩室
- 虚血性腸炎
- 大腸粘膜下腫瘍 など
大腸カメラ検査の流れ
大腸カメラ検査の流れは以下の通りです。
事前に外来にてご受診ください
大腸カメラの検査を希望される方は、一度当院の外来をご受診ください。医師による診察の結果、検査を受けることに問題がないとなれば、日時を予約します。また事前に採血による感染症検査（B型肝炎ウイルス 等）を行うほか、常用薬のある方は受診時に申し出るか、お薬手帳をご持参されるようにしてください。そのほか、大腸検査をするにあたっての注意事項（下剤の使用、前日の食事 等）の説明などもいたします。
検査前日の注意点
水分を多めにとるようにしてください。夕食時は、できるだけ消化の良いもの（ご飯（白米）、パン、うどん、白身魚、豆腐 等）で軽めに済ませます。なお食事で避けて欲しいのは、食物繊維が豊富な食品など検査に支障をきたすものです。具体的には、きのこ類、海藻類、野菜、種のある果物、高脂肪食などです。20時までには食事を終え、眠りにつく前に下剤をコップ一杯の水に溶かしてすべてを飲み干すようにしてください。
検査日当日
起床後は検査が終了するまで絶食となります（お茶や水を飲むことに関しては制限ありません）。常用薬に関しては、医師から制限されていないものであれば服用します。なお、検査時に鎮静剤を使用するのであれば、ご自身の運転（車、バイク、自転車 等）による来院は控えてください。
来院以降の流れ
- 1.問診
- 大腸カメラ開始前の事前確認として、いくつか問診をしていきます。質問は正直にお答えください。
- 2.診察
- 検査をするにあたって問題ないかどうか、医師による診察を行います。
- 3.下剤を飲む
- 検査をしやすくするために腸の中をきれいにします。そのためには、下剤（モビプレップ）を服用していきます。コップ一杯の下剤を15分ほどかけて飲み、量としては1リットル飲むことになります。その間は、トイレを往復することになりますが、便の色が透明になれば、検査のできる状態が整ったことになります。
- 4.検査の開始
- 検査着に着替えます。鎮静剤を希望される方は、ここで投与となります。検査開始にあたっては、左側を下にして「くの字」のような状態で横になります。肛門から大腸カメラを挿入していき、大腸内腔などの様子を観察し、病変が疑われる組織があれば、一部を採取していきます（生検）。
- 5.検査の終了
- 大腸や小腸の一部の内腔を一通り観察し終えれば、検査は終了です。時間については、観察のみであれば、10～15分程度です（個人差はあります）。
検査後の注意点
- 鎮静剤を投与された場合、その効力が失われたという状態になるまで、院内で30分～1時間程度はお休みいただくことになります。
- 食事は、検査終了後1時間程度経過してからにしてください。
- 検査当日は、激しい運動は控えてください。入浴については、シャワーのみが望ましいです。
