胃カメラとは

胃カメラとは

内視鏡検査のひとつで、正式名称は上部消化管内視鏡ですが、一般的には胃カメラと呼ばれることが大半です。胃カメラは、食道や胃、十二指腸などの器官に直接カメラを入れて、その内部を観察することで、病変等をチェックするという検査になります。

胃カメラは本体とスコープ部に大きく分かれ、スコープ部(操作部)の細長いチューブ(経鼻は直径5~6mm、経口は8~9mm)の先端には、レンズやCCD、照明、物をつかむ鉗子などが内蔵しています。これを鼻もしくは口から挿入していくことで、胃や食道など消化器の様子を撮影できるようになります。撮影した映像はリアルタイムでモニターを通じて確認します。その際に胃がん等の病変が疑われる部位がある、ピロリ菌感染の有無を判定したい場合は、一部組織を胃カメラで採取し、詳細を顕微鏡で調べる(生検)ことも行います。検査時間は、観察のみであれば10分程度です。

なお胃カメラで見つかる病気のひとつに胃がんがあります。胃がんも早期発見、早期治療によって予後は良いとされていますが、初期症状だけでなく、進行している状態でも自覚症状が出にくく、気づきにくいという特徴があります。そのため、初期の胃がんで発症に気づくケースというのは、胃カメラ等による検診で発見されることが大半です。ちなみに胃がんは、50歳を過ぎた頃から罹患率が上がっていきます。したがって、50歳を迎える頃からは定期的に胃がん検診を受けられることをお勧めします。

ちなみに胃がん検診には、バリウムを飲むX線撮影(レントゲン)もありますが、同検査で異常が確認されても、診断をつけるにあたって行う詳細な検査は胃カメラです。このことから1回で済ませたという場合は、胃カメラによる検査の方が有用といえます。

胃カメラ検査を受けた方が
よいとされる方

  • バリウム検査の結果、要精密検査の判定を受けた
  • 喉につかえを感じている
  • ピロリ菌の感染が疑われる方
  • 親族が胃がんにかかっている
  • 胸やけや吐き気など、胃に不快感がある
  • 血便やタール便(黒色便)がみられる
  • 40歳を過ぎ、これまで一度も胃がん検診を受けたことがない など

胃カメラによる検査で
発見可能な病気

  • 胃がん
  • 胃・十二指腸潰瘍
  • 逆流性食道炎
  • 食道がん
  • 胃炎(急性、慢性)
  • 胃ポリープ
  • ヘリコバクター・ピロリ
  • 食道裂孔ヘルニア など

経口内視鏡について

胃カメラの検査を行う場合、口から挿入するタイプの経口内視鏡と鼻から挿入するタイプの経鼻内視鏡があります。当院は、両方のタイプに対応しておりますので、胃カメラを希望される場合は、あらかじめどちらかを選択する必要があります。

経口内視鏡は、口から内視鏡を挿入していくタイプです。その際に舌の根にチューブが触れやすくなるので、嘔吐反射(オエッとなる)を引き起こしやすくなります。これが検査中に苦しくなる原因なのですが、その状態をできるだけ和らげるべく、希望される方には検査前に鎮静剤を投与いたします。これによって意識が薄らいだ状態になりながらの検査となり(呼びかけには応じられる程度です)、苦しさが緩和されるようになります。

利点としては、スコープの直径が太い(8~9㎜)ので、鮮明な画像による病変等のチェックが行えるということがあります。

経鼻内視鏡について

左右どちらか通りが良いとされる鼻孔から内視鏡を挿入していきます。したがって、チューブの径は5~6㎜と細い仕様となっています。メリットとしては、舌の根にチューブが触れないので、嘔吐反射は起きにくいとされています。そのため、鎮静剤を使用しないで検査を受ける方が多いです(希望者には投与します)。また検査中は口呼吸となるのですが、違和感がある、質問をしたいという場合に医師に話しかけることもできます。

なお径が細いことで画質を気にする方もいるかもしれませんが、経鼻内視鏡の検査機器は年を経るごとに技術革新していき、現在は経口内視鏡と遜色ない程度まで向上してきています。

ちなみに経鼻内視鏡を希望されても、鼻で起きる違和感が苦手、鼻腔内が狭い、鼻に何らかの病気(鼻中隔彎曲症、アレルギー性鼻炎の症状が強い、副鼻腔炎 等)があるという場合は、経口内視鏡での検査をお勧めしています。

胃カメラ検査の流れ

胃カメラによる検査を希望される場合、一度医師による診察を受けていただきます。そのための予約をまずはしていただくことになります。問題なく検査が行えるかどうか等をみていきます。問題がなければ、検査日時を予約し、どのタイプ(経口、もしくは経鼻)の胃カメラで検査を受けるかも決めておきます。また事前に感染症の有無を調べる検査として採血による血液検査を行います。このほか常用薬のある方は、事前に医師へご相談ください。何の薬かわからないという場合は、お薬手帳もご持参ください。検査前の常用薬の服用の仕方については、医師の指示に従ってください。

検査当日の来院以降の流れ

1.問診
検査にあたって、まずはいくつか質問をしていきますので、正直にお答えください。
2.診察
医師による診察で、胃カメラをするにあたって問題がないかを調べていきます。また診察時に検査中の注意事項等の説明もいたします。
3.麻酔の投与
局所麻酔下で行われます。経口内視鏡は咽頭麻酔です。また経鼻内視鏡は、鼻粘膜に局所血管収縮薬を噴霧し、鼻腔へジェル状の麻酔薬を流し込みます。
4.検査の開始
麻酔の効果が確認されると、検査台で左側を下にして横になります。上から、咽頭、食道、胃、十二指腸の順に内腔の様子を観察していきます。異常が確認されれば、疑われる組織を一部採取し、詳細を顕微鏡で調べる生検を行うこともあります。なお経鼻内視鏡の場合は、違和感や質問があれば医師に話しかけることもできます。経口内視鏡では、口内に唾液が溜まるようになります。この場合は飲み込まずに口の横から流し出してください。
5.検査の終了
一通り観察し終えると検査は終了です。観察のみであれば、10分程度の時間で済みます(個人差はあります)。

検査後の注意点

  • 鎮静剤を投与された場合は、その効果が消えるとされるまで、院内で30分~1時間程度はお休みいただきます。
  • 経鼻内視鏡の検査をした方は、鼻を強くかまないようにしてください。
  • 食事については、検査終了後1時間は空けてください(生検をされた場合は2時間以上)。開始にあたっては、まず少量の水を飲み、むせることがなければ食事をとるようにします。
  • 検査直後の間もない食事は、できるだけ消化の良い物をとり、刺激の強い食べ物やアルコールの摂取を控えるのが望ましいです。